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タイトル
リビルドプロジェクト

及部

今回は、ゴルフ場管理の仕事から見た芝生との関わりについてお届けします。

バロネスEメールマガジン読者の皆さまだけに一人のグリーンキーパーが芝生管理への思い

を語ってくださいました。

埼玉県にある嵐山カントリークラブ グリーンキーパーの前花貢氏です。

http://ranzan.cc/


前花氏は、鹿児島県の大学を卒業後、県庁に就職した。その後、県庁を退職し、両親の実家

のある富山県に移り住む。そして、ゴルフ場に勤めることになった。

そもそも面接した会社はゴルフ場ではなかった。が、たまたまゴルフ場を造成していたため、

農学部を卒業していた前花氏が抜擢されたとのこと。

そうは言ってもゴルフ場の管理なんて右も左もわからず、朝も早いと聞き悩んだそうだ。

それでも、まぁいいかと、大学生の時亡くなった母への報告にお墓参りに行った。

そこで驚いたのが、母のお墓から造成中のゴルフ場が一望できたこと。

これはオレ、見られているなっ!と心を決めたと言う。

それから、前花氏はグリーンキーパーへの道を歩み始めた。


一年間、他のコースで研修後、富山県のゴルフ場でグリーンキーパーとして働き始めたが、

何をどうしていいのかわからず、手探り状態だった。

そこで富山県立大で再度土壌学・肥料学を聴講生として学び、本を片手にコースを走り

まわったり、10分の通勤距離を惜しんで会社に寝泊まりする日々が続いたと言う。

まさに芝生な毎日だ。

自分には指導者がいなかった。昔は職人の世界ではなかなか教えてもらえなかった。

だから、年間60ラウンドを自腹でまわり、近隣コースを盗み見た。

次にどうやって情報を得るかを考えた。

各地区のグリーンキーパー会に積極的に参加し、他県の集まりに自ら飛び込んで行った。

そこで他県のコースのグリーンキーパーとつながりをつくり、コースを訪れる機会づくりや

情報を得る努力をした。


その後、富山県のゴルフ場から神奈川県・奈良県のゴルフ場へ移り、現在の

嵐山カントリークラブに籍を置く。

前花氏にグリーンキーパーという職業の素晴らしさをどう伝えるか?と問うと、

「楽」(タノシイ・ラク)と一言。

その上で、もちろん厳しいこともキツイこともあるが、期間限定。

でも、この仕事があっている人には会社勤めのサラリーマンより楽だと思う。

朝は早いが、夕方には終わる。

ドア to ドアでラッシュ時の渋滞にはまることも、満員電車に乗ることもない。

サラリーマンの朝起きて通勤→残業→接待→帰宅と比べてどっちがいいか?

それは考え方だけ。時間も全て含めてオレはこの仕事の方が楽だと思うと。

手腕をかられ、経営側スタッフへなどの声もあった中それを断り続けた理由…

それは、“楽しくないから!”

グリーンキーパーには、芝生をいじる楽しさがあり、発見がある。それが面白い。

一線を退くと発見が無くなり、楽しくない。

アドバイザーになるとグリーンキーパーとしての成長が止まると感じている。

芝生に接している間が日々成長だと思っている。と、グリーンキーパーの魅力を語った。


芝生の声なき声を聞き、芝生が何を望んでいるのか、何をすると芝生の状態がよくなるか

を考え、挑戦する。

前花氏には、日々成長し続けるための努力を惜しまない芝生に関わるプロとしての誇りが

ある。そして、芝生への愛着心がある。

自分の育てた芝生の上で、最高のプレーが行われること、それは何よりの喜びだろう。


名言 <Voice>

前花氏からお話しを伺う中で、印象に残ったお言葉を紹介します。


コース管理作業はプレーヤーのいる時間といない時間の作業効率は5割違う。

プレーヤーのいない時にどれだけ作業できるか、作業効率をどうやって上げるか、

を考えてフレックスに動け。

明日の天気は何だ?カレンダーのスケジュールだけにとらわれず、

機転をきかせてスケジュールを変えることは考えればできること。

考えることは、初めは大変かもしれない。でも、そのうち慣れるから。


行動しないことにはわからない。失敗したらやめればいい。でも必ず次がある。

オレも何度も失敗した。失敗を失敗で終わらさず次に生かせばいい。

面白い話、バーチドレーン(シャッタリング利用)をバンカーに入れて、

水たまり解消のために耕運機みたいに使ったこともある。これは成功した。

勉強も大事だが、実際の経験の積み重ねが大切だと思う。理論は勉強し、まずやってみる。

常識にとらわれない挑戦をするべきだ。

 

お金がないゴルフ場こそチャンスだと思う。お金が使えると考えない。

「お金が無いから」を理由に諦めるとそこで終わり。

オレは米ぬかや海水も撒くこともある。

お金が使えない中でどう考えるかで人は成長する=知恵と技術と考える癖が身に付く。

だからチャンスだ。


悪臭の元を絶たずに容器の蓋を閉め、悪臭が外に漏れないようにするように、

病気が出たからといって、薬剤を撒く。それでは根本的な解決にはつながらない。

病気が出た原因は何か?それを根本から解決せず一時しのぎをするだけでは

同じあやまちを繰り返すだけになる。

原因がわかれば予防策を考えることができる。

それが必ず次のステップにつながる。


人間は五感を大事にしなければならない。便利な道具に頼りすぎではダメ。

あくまで道具は副材であるべきである。

医者に例えるなら、昔の医者は患部を直接触って診察したが、今では検査やレントゲンに

頼る医者が多い。それと同じだ。

まず五感で確かめ、あたりをつけてから道具を使う。これが基本。

人間は五感を使えば自然と技術が身に付く。能力が上がり、評価に反映される。

そして自分の価値が上がる。それが“やりがい”につながるはずだ。


グリーンキーパーと経営者との信頼関係は大切である。

人間は話さないとわからない。

相手の立場に立って伝えること、人間の身近なものに例えてわかるように伝えることが

重要だ。


イチローや松山英樹はすごい。自分を追い込んで一流を維持する。

一流は疲れたと言わない。疲れが気持ちいいと思わないとダメだ。

自分が現役でいる間は、これが一生のテーマだと思う。

体が動く限り、現役でいたいから…。


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