【1】 夏を越えるシリーズ第1弾!狭山ゴルフ・クラブ編 |
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昨年の夏は、グリーンキーパーさんは胃の痛い思いをされたのではないでしょうか?
そんな異常気象をものともせず、切り抜けられた何名かのグリーンキーパーさんにお話を伺いました。
今回は、全国的にも猛暑で有名な熊谷市と同じ埼玉県の入間市にある
「狭山ゴルフ・クラブ」の大和田グリーンキーパーさんのお話をご紹介いたします。
取材前日より熊谷駅前に宿泊しておりましたが、降雪があり、夏は暑く、冬は雪が降るの?
という気象状況の中、グリーンキーパーさんは大変なご苦労をされているのではないか?
と推察できました。
それでは、狭山ゴルフ・クラブの大和田グリーンキーパーさんに登場していただきましょう!
(青字は弊社取材者)
Q・どのくらい前から、弊社のハイロー切替グリーンモアをご使用いただいているのでしょうか?
A・前赴任地にて、ハイロー切替グリーンモアが発売される前(2005年〜)よりテスト的に2台を使い
その後、同一管理ができないという事で3台追加して、5台でフルシーズン使ったのが2006年です。
当初、ハイクリップで刈ると砂を上げてしまうとか問題があったのですが、色々な使い方を考えて
外周刈りをロークリップで刈り始めました。
Q・ロークリップで刈るという事をお考えになったのは、大和田グリーンキーパーさんが先駆者ということですね。
A・ハイロー切替が入ってからは、外周については常にロークリップで刈っています。
Q・ロークリップで刈ると芝の状態は明らかに違うのですか?
A・そうですね。
やはり、ハイクリップで刈るとストレスがかかっていたのが外周をロークリップで刈るとストレス軽減になりますね。
画期的な構造だと思いましたよ。
切替が付いていない時は、目砂の後に砂を上げたり、肥料を拾ったりしていましたので
古いモアを使って刈込みをしていました。
古いモアと新しいモアを回転数の違いで使い分けをしていました。
バンハードのベットナイフフェイサーとハイローの切替、バックラッピングだけで
ベットナイフの消費が1/3に減りましたよ。
結局、刃の研磨の違いなんだけど、メカニックの腕にも左右されますね。
Q・昨年の夏はどのように越されたんですか?
春にダイヤモンドカップトーナメントがありましたが?
A・トーナメントが終わり、7月16日(金)の梅雨明けから、外周も中もロークリップでずっと刈っていました。
やはり、ハイクリップで刈るとストレスがかかっていたのが
中はもちろん、特に外周をロークリップで刈ると軽減になりますね。
Q・目安はあるのですか?刈高とか・・・。
A・夏場はロークリップで刈ると決めています。
ハイとローでは明らかに芝へのストレスが違います。外周だけではなく、まっすぐ刈っても、明らかに違います。
Q・ハイクリップに戻したのはいつ頃ですか?
A・戻したのは、夏が終わって、落ち着いたらすぐにエアレーションをしたので、9月中旬とか下旬とかかもしれませんね。
Q・ハイローの切替のタイミングであったり、使い方がまだまだ浸透してないかなと思っています。
これからは、芝へのストレスの軽減、目砂の回収量の変化や芽数の推移などの情報を
発信したいと考えています。
また、メーカーは、リール回転を速く、よりハイクリップを求めてきました。
それに対してマイナスに影響する場合もあり、使い方などの情報を伝えていければと思っています。
A・ストレスが一番違うと思っています。夏もロークリップで刈って、真冬もロークリップで刈っています。
それ以外はハイクリップで刈っています。
Q・真冬もロークリップで刈込みをされるのですか?
A・真冬は芝の活性が落ちます。
ハイクリップで刈っているとストレスがかかるので、真冬も全部ロークリップで刈っています。
Q・どのくらいのスパンで刈込みを行っていますか?
A・2グリーンなので、使用するグリーンは一日置きに使っています。
実際、夏は毎日刈らないと伸びすぎてしまうので毎日刈っています。
冬に実際に刃を入れて刈るのは、週一回のみで、あとは転圧だけです。
刈っても週二回というところで、1月・2月は週一回ですね。
Q・名門コースですと、ただでさえ良くて当たり前みたいなところってありますよね?
A・こちらのメンバーさんはそんなことはない感じです。
コース管理に関しては協力していただいています。その辺は助かっています。
2グリーンあって、一日置きに使うとクオリティも違います。
夏場の管理もこちらの努力が必要ですが、メンバーさんのご理解とご協力がないと厳しいと思いますね。
Q・夏の最高気温はどのくらいですか?
A・37〜8℃ですかね。となりの熊谷は異常です。
ここは40℃はいかないし、夜間気温が下がるのが大きいと思います。
どこかで休むところがないと、人間と一緒ですからね。
Q・昨年の夏は何oくらいで管理されていたのですか?
A・8月で比較すると、昨年は4.3o、一昨年は3.9oでした。
Q・メンバーさんからクレームはなかったのですか?
A・芝の生態について説明して、刈高も上げますし、その分スティンプも下がりますという説明をして理解していただき
協力していただいたので、クレーム的なことはないです。
Q・そういう事は通常、この業界ではないことですか?
A・メンバーさんに理解があって、実際そういった時に数値としてどのくらいなの?という声はありました。
夏場は
『申し訳ないですが、8.5フィートくらいになってしまいます。
最悪8フィートくらいまで落ちてしまうかもしれないですが、とりあえず夏を越させる事を考えての事です。
メンバーコースなのでクラブチャンピオンなどの大きな試合があります。
それでも、トップシーズンである秋を良い状態で迎えるには、申し訳ないですがそれで勘弁してください。』
と、ご理解いただいています。
それだから駄目とも言われていないし、無理して夏に芝がなくなっちゃうよりは
ここでちょっと我慢するっていう言い方が良いかは解らないですが
メンバーさんに話をして理解していただき、トップシーズンの秋に、良いコンディションでゴルフができることが
プレーヤーにも喜んでいただけると思います。
と、貴重なご意見や作業の仕方について、お答えいただきました。ありがとうございました。
今後もご活躍をお祈りしています。
長い時間を割いていただきまして、ありがとうございました。
取材を終えて・・・
大和田グリーンキーパーは、屈託のない笑顔でお話いただきまして非常に好印象でした。
四季を通して植物を自然の中で扱う事は、大変なんだろうなと感じました。
また、今後も温暖化が加速度的に進んでいくと考えられます。
グリーンモアのハイロー切替は、画期的な機械であると再認識できたお話で、うれしくもあり
メーカーとしてもっと使い方等を模索していかなければならないと感じた取材でした。
取材ご協力
狭山ゴルフ・クラブ
〒358-0041 埼玉県入間市大字下谷ヶ貫492
武蔵野の面影をとどめる雑木林に囲まれた林間コースです。
コースレート72を越えるタフさと関東屈指の長い距離を誇る難コースで
池が戦略性と景観を引き立たせているゴルフ場です。
(株式会社 共栄社 CS推進部 柴崎) |