【1】 夏を越えるシリーズ第2弾!東京ゴルフ倶楽部編 |
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昨年の夏は、暑い日が続き、秋になっても気温が下がらず
昨年は、グリーンキーパーさんは胃の痛い思いをされたのではないでしょうか?
そんな異常気象をものともせず、切り抜けられた何名かのグリーンキーパーさんにお話を伺いました。
今回は、グリーンを改造され、長い夏越しを経験された「東京ゴルフ倶楽部」の柴沼グリーンキーパーさんです。
バロネス乗用3連モア「LM315GB」と手押しグリーンモア「LM56GB」「LM18G」をご使用いただいております。
(青字は弊社取材者)
Q・弊社の乗用3連グリーンモアをお使いだと聞いていますが、いかがですか?
A・もともとT社の乗用グリーンモアを1台使用していました。
3年程前、ティ刈り用にもう1台購入を検討していた時、T社とバロネスの機械のどちらにしようかと迷っていました。
その時はバロネスの優れたところを検証できなくて
1台T社で、1台バロネスというのも具合が悪いだろうとT社の機械を購入しました。
しかし、今回はバロネスを購入しました。
グリーン周りを改造して、グリーン周りの高麗カラーを3連で刈れる幅にし、乗用3連で刈ろうと・・・。
バロネスとT社で迷ったんだけど、T社の刈り上がりが気に入らなかったことと
バロネスを一度使用してみたかったこと。そしてコスト的にもバロネスが安かったので購入しました。
今回初めて導入して、刈ってみると、バロネスは刈り上がりが全く違うと感じました。
T社は高麗の芝の突き上げに負けてユニットが跳ねていくし、高麗の腰に負けてしまう。
しかし、バロネスは下刃のオフセットとリールの高速回転の影響が大きいと思うのですが
刈り上がりが良い、カット率が全然違う、刈芝量が全然違う、とはっきり実感できました。
Q・それはどういう事ですか?
A・仕上がるという事です。また芽数が増えるという事です。
ティを、非常にグリーンに近い仕上がりにできます。
Q・T社との違いは何ですか?
A・昨年の夏にT社で刈っているコースがあったら、たぶん蒸れたよ!寝かしちゃうから・・。
マットのグリーンって、乗用3連グリーンモアだと、フロントローラーとリヤローラーでフローティングしていますよね。
マットは、いくらでも刈込ができてしまうので
アンジュレーションがあったら、そのままの状態で波乗り現象になってしまいます。
いくら刈ってもマットは解消しないのです。
Q・具体的にはどんな感じですか?
感覚的だけど、バロネスはスイスイ刈っていくって感じですよ。
なお且つ、刃のセッティグで、芝を起こしながら刈っていくような感じです。
極端な事を言えば、食い込んで刈っているみたいな・・。その差はかなり大きいと思います。
T社との刈り上がりの違いは、はっきり主張していった方がいいと思います。
Q・そうですね。今後はそうしていきたいと思います。スイスイと感じるのは、なぜなんですかね?
刃のセッティングと刃の回転がいいんだと思います。
刈れるってことですよ。
いくらテクノロジーが良くても、芝刈り機だから刈れないと意味がないから。
刈って仕上げる事がコース管理においてグリーンキーパーの付加価値を増やすという事だと思います。
→乗用3連モア「LM315GB」のご紹介はこちらから←
Q・ありがとうございます。その他になにかお気づきの点はありますか?
A・今までは土屋の古いタイプの乗用グリーンモアでも、グリーン周りのカラーを刈っていましたが
断然バロネスの方が綺麗に刈れます。
他のモアで刈っていると、だんだんカラーが上がっていくので困っていました。
バロネスの場合は、それが防げそうです。
Q・以前、同じことを他のグリーンキーパーさんにも言われましたが、具体的に教えてもらえますか?
A・刈れる要素の中で、アップライトに刈れるってことです。
T社や他の芝刈機だと、アップライトに刈れません。
Q・そうですか。ありがとうございます。
では、グリーンについてですが
歩行型グリーンモアのハイクリップとロークリップの使い分けの仕方についてお伺いします。
特にロークリップを使ったのは、目砂散布の時と種をまいたグリーンの外周の刈込みの時とか
芝生が若かったので見た目にキツイ刈込みはしない方がいいなと・・・。
もともとからあるグリーンに対しては、ロークリップは使用していません。
ロークリップを使ったのは、種をまいたグリーンです。特に外周の刈込みです。
Q・昨年の夏は、ハイ/ロー切替は活躍しましたか?
A・一番暑い時期にはロークリップを使いました。
しかしロークリップを多様化しすぎると、マット化する原因にもなります。
たとえ夏でも元気な芝にロークリップを多用すると、モコモコになりかねないですね。
Q・ロークリップを使う基準は、ありますか?
A・それはなかなか難しいのですが・・・。
バケット回収量とかは目安になるかもしれませんね。
昨年、内側をハイクリップで刈って、外周をロークリップで刈ると
外周が刈れてないから高くなってきてしまうので、カラーみたいになってしまいました。
でも、背に腹は代えられないよ。芝を残す為に・・・。
Q・中も外周刈りも、刈高は同じなのですか?
A・もちろん、そうです。ロークリップに切り替えて、外周を刈っています。
Q・外周を先に刈りますか?後で刈りますか?
A・基本的には先に刈り込みをします。
いきなり、カラーみたいになるわけではありません。何回か刈っているとなりますよ。
Q・そうなのですか?
A・『芝を残す』のがキーワードみたいなところがありますから・・・。
芝生がなくなれば、ゴルフができなくなるわけです・・・。
真夏に仕上げる話をしているわけではないので
種を播いたばかりのグリーンで夏を越さなくてはならない状況の中で
外周をずっとハイクリップで刈っていると、どんどん刈れてしまいます。
ロークリップを使うしかなかったのです。
Q・年間の刈高の推移について教えてください?
A・最高が4.4oで、最低3.2oです。
Q・刈高4.4oくらいの時は、暑い夏にロークリップを使われたということですか?
A・一昨年に比べて、はるかにロークリップを多用していました。
リスクヘッジとして良かったと思います。
Q・機械的にはどうですか?使い道はありますか?
A・画期的な機械だと思いますよ。
外周をハイクリップばかりで刈っていたら、新しいグリーンの維持についてはきつかったと思います。
Q・そうですか。
昨年の場合、多くのゴルフ場で、グリーンの外周刈りでのストレスによってピシウムが発生し
止まらなくて、グリーンの中へ侵食してきて、グリーンにダメージを受けた。
というようなお話も聞きました。
A・そうですね。活性が下がってくれば、悪循環でそこに病気が付いて戻らなくなります。
止まったとしても回復力がない。
ある部分、対処療法ではなくて予防散布的なものをしていかなければならなかった夏だったのかな?
Q・柴沼グリーンキーパーが思う良いグリーンとはどのようなグリーンでしょうか?
均一なグリーンですね。
どこのホールのグリーンを比較しても、グリーンのどの部分を見ても均一で
ボールの転がりと止まり具合がフェアなグリーンです。
Q・均一なグリーンにする為に、心がけているものは何ですか?
A・うーん?刈り上がり。綺麗に刈れている事。
刈る方向や刈込みの技術に関する事を基本と考えれば、バケットの中の芝が少ない内にこまめに捨てるだとか・・・。
Q・グリーン刈りの指導もされているのですか?
A・もちろんです。刈込みの方法や注意点を作って紙で配り、説明したりだとか。
Q・最後に弊社は本年度よりディンプル無ドラム付グリーンモアを販売するのですが、どう考えられますか?
A・面を出すという事に対して、阻害する要素がない方が良いと思います。
時期によってはディンプル跡が残る事もありますし・・・。
販売されたら、今までに納入された機械についても部品を購入してディンプル無のドラムに切替えていきますよ。
と、色々なご質問にお答えいただきました。
貴重なお時間を頂き、ありがとうございました。
取材を終えて・・・
柴沼グリーンキーパーとは、久しぶりにお話をさせていただきました。
優しい口調の中にも、はっきりと物をおっしゃる事に感銘を受けました。
弊社も、機械的なメリット・デメリットをはっきりとさせ
ユーザーさんの要望に添える機械を製造する必要性を再認識できました。
取材ご協力
東京ゴルフ倶楽部
〒350-1335 埼玉県狭山市柏原1984
設立は大正2年12月8日。初めのコースは東京府駒沢村に造成され
昭和7年には埼玉県朝霞に移転しましたが
その後15年に現在地にあった『秩父CC』と合併移転し今に至っています。
深いアリソンバンカーと砲台グリーンにゆるやかな起伏を自然のまま配置した
戦略性に富んだ林間コースとなっております。
(株式会社 共栄社 CS推進部 柴崎) |