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ゴルフシーズン真っ盛りの11月です。
振り返れば今年も猛暑の夏でした。
2010年から今年2014年まで5年連続で暑い夏が続きました。
当初、今年はエルニーニョ現象による冷夏との気象庁の予測もありましたが
それも秋にずれ込みました。
そして、今年もまた暑い夏となり、猛暑に立ち向かう日々が続きました。
それでは、この暑い夏をグリーンキーパーさんたちはどのように乗り切られたのでしょうか?
今回は暑い夏との闘い真っ只中の7月、猛暑の本場と言われる埼玉県熊谷市の近く比企郡鳩山町にある
「鳩山カントリークラブ」のグリーンキーパー 廣部清隆様を訪れた際に伺ったお話です。
Qは弊社取材者、Hは廣部様です
Q・ 本日はお忙しいところありがとうございます。
早速ですが、鳩山地区の夏の最高気温を教えていただけますか?
H・今年(2014年7月末現在)はまだ37℃です。昨年の最高気温は39℃以上になりましたよ。
全国的には暑さは熊谷が一番と言われていますが、実は日中の気温はここ鳩山地区の方が高いんですよ。
ただ、今はまだ朝晩の気温が下がるのが救いですね。
Q・そうなんですね。
夏越しのコース管理で一番気をつけていらっしゃることは何ですか?
H・芝生を残すことです。あとは天気次第ですね。夏のグリーンは水に一番注意しなければいけません。
暑くなると日照でグリーンの顔が緑色から黄色に変わっていきますからね。
Q・では、夏のグリーン管理についてお伺いします。
刈り込みで使用されている機械を教えていただけますか?
H・バロネスの22インチモア(11枚刃)で手刈りをしています。
乗用に比べて手刈りの方がグリーンへのダメージが少なく、クオリティが高いからね。
それにバロネスは刃物の精度が良いから、きれいに刈れるよ。
Q・ありがとうございます。グリーンのセッティングを教えていただけますか?
H・刈高は通常3.0o前後ですが、夏(7〜10月)は4.0o〜最高4.5oぐらいまで上げます。
芝生を残すことが一番だから、思いきりますよ。目安は芝生が伸びなくなってきたらかな。
刈高を上げるとスピードへの影響を考えるグリーンキーパーさんもいるけど、私は違うな。
4.0oぐらいでも速いグリーンをつくっているグリーンキーパーさんはたくさんいるからね。
Q・刈り込みについて教えていただけますか?まずはクリップピッチについては?
H・基本的に一年中Lowクリップで刈り込みしています。
大会前や仕上げはHighクリップを使用するから、もちろんH/L切替の機構は必要だよ。
Q・外周刈りについては?
H・外周は先に刈り込みしています。
外周はバケットが空の状態で刈り込みするようにしているけど、人間忘れちゃったりするからリスク回避のためにね。
外周はバケットの刈芝の重量による芝生(グリーン)へのダメージも大きいし、刈高も変わっちゃうから…。
それから、夏は外周の刈り込みを一日毎にしています。
Q・刈り込み方向については?
H・刈り込み方向は毎日違うかな。芝目の癖がつかないように4方向で刈り込みしています。
Q・その他に気をつけていることは?
H・オペレーターには刈り込み前はボールマークを必ず直してから刈り込みするように徹底しています。
Q・オフセットについてのお考えをお聞かせいただけますか?
H・オフセットはあくまでカジリ対策だと思います。刈取り量も少なくなるからね…。
カジリがなければ、刈取り量を確保できるスタンダードの方が芝生(グリーン)には一番いいと思います。
Q・NDドラム(ノーディンプル)についてはいかがですか?
H・NDドラムの方がディンプル跡が残らなくてきれいだよ。登坂力を望まなければディンプルは必要ないでしょう。
Q・グリーンキーパー 廣部様が考える「良いグリーン」とはどんなグリーンですか?
夏に芝生が残っている緑のグリーンです。そして、プレイヤーに「良いグリーンだね!」と言ってもらえるグリーンです。
Q・現在、パッティンググリーンで、ミニバーディを養生中とお聞きしましたが…?
H・はい。造成60日ぐらいですが、もう転がせるぐらいになりましたよ。
ミニバーディはコウライより葉が細いから転がりもいいかもね。
評価が良ければ来年は1グリーンをシフトする予定です。
そうすると休んでいるベントも相乗効果で元気になって良いグリーンになると思うけどね(笑)。
芝刈り機も芝種によってモアへの要求が違うと思います。
バロネスさんには今後はそこも検討していってもらいたいね。
Q・ありがとうございます。今後の参考にさせていただきます。
最後にズバリ「夏越しの秘訣」を教えていただけますか?
H・とにかく朝・昼・晩と時間単位で芝生を観察することが一番だと思います。
芝生の健康状態を見て、その理由を考えて、それで全体の管理(散水・施肥など)をします。
芝生の健康状態を判断する目安は、基本的に刈り込みです。
刈取り量と朝露でも水分量や健康状態がわかりますからね。それだけ刈り込みは大切な作業なんですよ。
Q・ありがとうございました。
グリーンキーパーの廣部様にお話を伺いました。
鳩山カントリークラブ様は、夏もプレイヤーから「コース管理のメンテナンスはとても素晴らしく
特にグリーン、フェアウェイの芝の仕上がりはパーフェクトです。
グリーンキーパーの上手さが冴えるコースです。」と口コミの評判が高いコースです。
私もコースを拝見させていただきましたが、思わず「きれ〜い」と言葉を発してしまうほどでした。
グリーンキーパーの廣部様の日々の努力と想いが
プレイヤーにコースという作品で届けられていると感じさせられました。
また、私が「コースを見せていただけますか?」とお願いしたときの廣部様の笑顔がとても印象的でした。
弊社もお客様のご要望にお応えできる製品づくりを目指してがんばって参ります。
お忙しい中、貴重なお時間をありがとうございました。
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