ここを通じてフィールドへ
-荒々しく打ち付ける波。
-海から駆け上がってくる風。
-広がる緑と海のコントラスト。
種差海岸インフォメーションセンターは、そんなどこにでもありそうな、
でも他の海岸とは明らかに異なる表情を持った海岸沿いにある。
同インフォメーションセンターは、2014年7月にオープンした
環境省の施設である。
被災地のいま!
今回、このインフォメーションセンターの運営管理を行っている
特定非営利活動法人ACTYの町田直子理事長にお話を伺った。
http://npo-acty.jp/
![特定非営利活動法人ACTYの町田直子理事長](http://www.baroness.co.jp/mmn/vol77/mmn_kc77-1.gif)
その前に、種差海岸の含まれる「三陸復興国立公園」の成り立ちから
紹介をしていきたい。
元々環境省は2010年頃より、全国の国立・国定公園の総点検作業を実施して きており、その中で国立・国定公園の新規指定や拡張等の事業を行ってきた。
国内でも有数な変化に富んだ海食地形や景観が評価され、
この三陸海岸エリアもより大規模な公園として拡張候補に挙げられてきた。
しかし、そんな中で東日本大震災が起こる。
大きな被害こそなかったものの、震災当日は芝生の一部まで
津波が到達したそうだ。
その後、種差海岸とその周辺の公園も震災復興への貢献が期待され、
より広域での復興への取り組みを行うため、新たに三陸復興国立公園に編入。
新しく復興国立公園として制定された。
“美しい海岸線、多くの動植物が分布し、そして四季折々の表情を見せる
このエリアを活性化し、その魅力を発信する”
これが種差海岸インフォメーションセンターに課せられたテーマである。
町田理事長は、大阪市のご出身で、ご結婚を機に八戸市に移り住んだ。
これまで地元八戸の活性化を目指して、地域が主体となった商品や
サービスをプロデュース、発信してきた。
インフォメーションセンターと隣接するカフェには町田理事長の
アイディアがあちらこちらに見受けられる。
カフェには、所狭しと並べられたアイディアグッズや
お土産品が並べられていて、どれもユニークな商品名や
パッケージで目を楽しませてくれる。
![アイディアグッズやお土産品](http://www.baroness.co.jp/mmn/vol77/mmn_kc77-2.gif)
それから、やはり、ここでの目玉は体験プログラム。
ハイキングやトレッキングのツアーが数多く企画されている。
中には地元の漁師さんや民宿などとコラボした企画も。
特にハイキングやトレッキングは、地元の自然をよく知るガイドさんの案内で
種差周辺に残る動植物や史跡を巡り、大変人気だという。
この日はオーナメント作り教室を開催していて、女性が集まっていたり、
幼稚園児たちも遊びにインフォメーションセンターを訪れていた。
注意深く見るとセンター内のしつらえや展示コーナーは皆、子供の目線で
作られている。
平日にも関わらず来場者が絶えない。特に女性の来場が多い気がした。
インフォメーションセンターの建物は無垢の木を多く使った
構造材が剥き出しで、木の温かみを感じる設計だ。
ここにいると、緑と海の奏でる美しい景色と相まってついつい長居して
しまいそうになる。
女性スタッフの方たちも皆、親切で明るい。
![インフォメーションセンター](http://www.baroness.co.jp/mmn/vol77/mmn_kc77-3.gif)
町田理事長はおっしゃる。
「施設に来てもらうことが目的ではありません。
ここを通じて美しい種差のフィールドを体験してもらいたい。
体験通じて種差の文化や暮らし、自然を五感を通じて感じてもらい。
また繋がっていくことが、東北、被災地の復興や人々が
元気になれるきっかけになります。」と。
経済、ボランティアなど、復興に向けてのサポートの仕方はいろいろある。
東北の自然や文化、出会いや体験を通じて、
持続的なまちの活性化に寄与していく、
種差海岸インフォメーションセンターに与えられた役割は
重く、美しく、尊い。
(2019年12月26日)
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